平成29年10月度研究会報告

平成29年10月度の京都先物・証券取引被害研究会の定例研究会は,平成29年10月26日18時から京都弁護士会館会議室で実施されました。

今回の研究会では,司法研修所著「デリバティブ(金融派生商品)の仕組み及び関係訴訟の諸問題」(法曹会)の輪読会を行い,同書のうち,①「デリバティブ総論」と,②「オプション取引」を扱いました。

①につきましては,発表担当弁護士で,まず,デリバティブの基礎として,デリバティブ取引の具体例や種類,特徴についての解説がありました。次に,金利の基礎知識として,金利の種類やLIBOR,TIBOR等の概念のほか,クーポン,利回り及び債券価格の関係について解説がありました。さらに,先物取引・スワップ取引について,各種類や特徴について,具体例も踏まえながらわかりやすい解説がありました。様々な概念が絡み合う分野について,概念を整理することができるものとなりました。

②につきましては,発表担当弁護士で,まず,オプション取引の定義からはじまり,取引の基本的な内容を具体的なケースをもとにした解説と,損益図の理解の仕方について丁寧な解説がありました。そして,損益図と対照しながら,オプション取引の本来の使い方として,オプションの合成と戦略(プロテクティブ・プットやカバード・コール等)の紹介がありました。その上で,店頭オプションについての様々なメニューについて,担当弁護士が実際に扱った事件を例にして,取引の問題性を解説しました。複雑な取引について,事例も踏まえながら丁寧に解説され,理解を深めることができるものとなりました。

今回の輪読会では,上記書籍をもとに,基本概念について再確認するとともに,各弁護士のこれまでの経験を踏まえた批判的検討も行い,充実したものとなりました。

文責:伊吹健人