平成29年7月度研究会報告

平成29年7月度の京都先物・証券取引被害研究会・定例研究会は、平成29年7月28日17時から京都弁護士会館会議室で実施されました。

今回の研究会では、①担当弁護士より判決報告「静岡地裁浜松支部・平成29年4月24日」をいただき、②『事例で学ぶ金融商品取引被害の救済実務』(三木俊博編著)輪読会の第2回目を実施しました。

①の判決報告で取り上げられた事案は、当事者の属性から取引の違法性を立証することが難しい事案でした。結論としては、裁判所が過当取引を認定し、一定の被害回復が図られましたが、研究会では、判決内容・立証方法に踏み込んで議論が交わされました。

具体的には、(ア)判決では、口座支配性は認めているように読めるが、実質的な一任売買を否定している点をどう考えるか、(イ)録音データが取引の違法性を基礎づける重要な証拠となりうるが、どのように収集を行うべきか、また、当事者から録音データが期日に提出された場合、それがどのような働きをするか、などです。

判決の結論だけに目を向けるのではなく、研究会で判決内容を議論することで、一つの事件から多くのことが学べ、私自身とても勉強になりました。

 

②の輪読会では、同書第1部第3章「損害論」及び第4章「事件の進め方と注意点」が取り上げられ、担当者から資料に基づいた報告がありました。

前者については、主として、「どのような損害費目があり、それらはいつから発生するのか」について報告があり、後者については、基本的な金融商品事件と特殊商品(デリバティブ商品)の事件について、どのように事件が進み、それぞれの段階で何を注意すべきかについて報告がありました。

そして、報告後、録音データの保全の仕方について議論が交わされました。録音データの保全が困難な時、電話の発受信記録を押さえておくことや、書面で提出の約束をしておくことなど、実務で必要となる手段が学べ、今後必要な場面で実施できればと思いました。

今後も研究会への参加を通じて、スキルアップが図れればと思います。

文責:勢川琢也

今回は研究会後に暑気払いを行いました。当日は雨が途中まで降っていたので外でバーベキューは難しいかと思っていましたが、研究会が終わる頃には雨も上がっていて,外でみんなでバーベキューを食べて親睦を深めることができました。お肉も野菜も飲み物も美味しかったです。こういう時間も大事にしたいですね。
文責:中島俊明