平成29年6月22日に、平成29年6月度の京都先物・証券取引被害研究会・定例研究会が行われました。
その内容としては、当研究会所属の弁護士が扱った投資詐欺事件についての報告・検討と、今回から始めていくこととなった「事例で学ぶ金融商品取引被害の救済実務(三木俊博 編著)」の輪読です。
まず、投資詐欺事件の報告・検討では、事件を扱った二人の弁護士から事件に至った経緯を初めに報告され、その後、事件の処理方針、最後に事件の特徴点を報告してもらいました。このように、実際のケースを参考にして研究会のメンバーで話し合うというのは、ともすれば個人個人で仕事を行うことが多い弁護士にとって、数多くの知識を学び共有する貴重な機会になります。このような経験を弁護士間で積み重ねていくことで、例えば投資被害の端緒になるような事態を早期に把握し、将来的に京都での投資被害の芽を摘むことに繋がることにもなるのでは、とも思いました。今後も、このような経験の共有を行っていけたらと思います。
次に、「事例で学ぶ金融商品取引被害の救済実務(三木俊博 編著)」の輪読については、同著第1部の第1章と第2章を長谷川正明弁護士に報告してもらいました。まず、「事例で学ぶ金融商品取引被害の救済実務(三木俊博 編著)」の編著者である三木俊博弁護士は、長年投資被害の救済に携わってきた先生です。今回は、総論部分である金融商品取引被害の状況や適合性原則違反、説明義務違反について勉強しました。そして、報告後の議論では、そもそも適合性原則や説明義務自体の捉え方、両者の関係性、ひいては裁判に至った場合にはどのような主張内容でその違反を問うていけばよいのか、といったことを議論しました。私自身、「いかに業者がリスクを説明しようとも、そのリスク説明が60分のうち初めの5分のみで、その後の55分で儲け話ばかりをされた場合には、総合的に考えると適切な説明を為したことにはならないのではないか」という意見には納得させられるものがありました。今後も、この輪読を続けて、同著の知識を吸収していくと同時に、メンバーの考えを共有する契機になれば良いなと感じました。
文責:石橋 勇輝